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酸性温泉

霧島温泉郷 湯之谷山荘 1 [温泉地レポート 九州]

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鹿児島空港から二台の路線バスを乗り継いで1時間ほど。森の中のバス停は、周囲に民家すらない。宿の看板だけが、脇道の先にある目的地を知らせている。

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バス停から宿までは徒歩で6分ほど。うっそうとした林道を、ゆっくりと登っていく。車1台通らない。知らなければ、引き返したくなるような朽ちかけの道だ。

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片側は斜面になっていて、遥か下に川が見える。もう片方には排水路があって、いつのまにか湯の花の混じる白い温水が流れている。どうやら風呂の排湯のようだ。

ここは鹿児島、霧島温泉郷の外れ。湯之谷温泉、湯之谷山荘。山中に隠れるようにして佇む一軒宿。開業は昭和15年。霧島火山群を熱源とする九州屈指の名湯だ。


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梅雨どきに来たせいもあり、客は少ない。木々に囲まれて建つ、老境に差し掛かったような館内には、部屋に案内される自分たちの足音だけが響く。

さっそく浴衣に着替え、湯屋へ向かう。廊下の扉を開けて渡りに出ると、男湯と女湯がとなりあって並ぶ。

雨だったこの日は、渡りで犬が迎えてくれた。犬は人の後ろをついて歩くときもあるし、暇そうに座っていることもある。でもたいがいは寝そべって、客たちに穏やかな眼差しをむけている。ワンとも吠えたりせず、ひたすらおとなしい。

訪れた日は、脱衣場と風呂場を仕切る戸が開いていて、先客がそのままで浸かっている。どうやら戸は開け放したままでいいようだ。

湯屋は総木造。むき出しの柱や筋変えが、宿の名のとおり山荘のような趣だ。

湯船は三つあり、木の床に整然と埋め込まれている。
熱い硫黄泉。
ぬるい炭酸泉。
その中間の温度で、両方の湯が注ぎ込む混合泉。

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豊富な湯量は毎分470リットル。pH5.7の弱酸性。みごとに白濁した硫黄泉と、薄にごりの湯面にコロイド状の湯の花が舞う炭酸泉を、同時に味わうことのできる稀有な宿だ。

床に座ってかけ湯をはじめると、先客の老人がごそごそと声をかけてくる。鹿児島の山間部の方言が強く聞き取りづらいが、熱湯とぬる湯を交互に入るといいよと教えてくれた。地域の住民で、よく立ち寄りで来るのだそうだ。礼を言うと、老人はそれ以上まったく言葉を発しない。

ただただ寡黙。細糸のように伝わってくる心は温かい。

言われたとおり、熱湯とぬる湯を交互に浸かる。そして時たま、混合泉に身を沈める。三湯の温度の差が、身体を活性させる。

体調に気を配り、ときには水を飲みながら、ここは1時間も2時間も、ゆったりと入るのがいい。木の湯槽は手触りが柔らかい。

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風呂場には狭いながらも別室の洗い場があって、石鹸やシャンプーが湯船から隔てられている。湯船に泡が飛ばない気配りと見た。

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風呂場の隅には手桶が整然と並び、ケロリンの洗面器が積み上がる。そう言えば、渡りや脱衣所、そして風呂場には、至るところに張り紙があり、湯の効能や泉質、入り方が、初心者にもわかりやすく書いてある。しかも、その全てが手書きだ。

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風情の点からすれば、こうした張り紙はないほうがいい。でも、初めての湯客たちに、この風呂の愉しみ方をつい教えてしまいたいのだろう。宿の主の気遣いが、張り紙になって迎えてくれる。

心配りがジワリと伝わる、秀でた湯をもつ山中の宿だ。


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2016年・梅雨     


■霧島 湯之谷山荘
鹿児島県霧島市牧園町高千穂4970
TEL 0995-78-2852
https://www.mountaintrad.co.jp/~yunotani



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