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酸性温泉

然別湖 露天風呂は冒険だ! [温泉地レポート 北海道]

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はじめてここへ来ると決めたとき、それはまさに冒険だった。

札幌へ雪まつりに行ったときは氷点下6度だった。冬の草津の共同浴場へ行けば、風呂場が5度ぐらいのこともある。

でも、マイナス10度、もしくは20度の外気に触れ、そこで裸になって風呂に入るのはどういうものなのか。恐怖すら感じる。だからはじめて来た時は、相当な覚悟をしたものだ。

そこで、ちょっと特殊な然別湖流、氷上露天風呂の入り方を説明しておきたい。

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ここは外気と湯の温度差が50度以上ある。60度になることもザラだ。当然脱衣場も氷点下で、軽いヒートショックもおきる。心臓や循環器系に不安のある方にはお勧めしかねる。

露天風呂は2湯ある。建物に入ると、二つある脱衣場への入り口があって、それぞれ靴を脱ぐ場所がある。先客の雪靴を見れば、何人入っているか、女性用の雪靴しかないかがわかる。そこでマナーを守って入るにはどちらの風呂がいいかを判断する。

また脱衣場で着替え中の人もいるので、気配がするなら断ってから中に入る。ここで注意を怠ると、無神経人間、もしくは痴漢と間違われる。先客が着替え、もしくは脱衣して風呂へ行くのを待つのもマナーと考えたい。声をかけるのもいいだろう。

氷でできた脱衣場は、当然氷点下。脱衣場の入り口で雪靴を脱ぎ、靴下も靴に突っ込んでおく。衣服を置く棚と、着替えるときに乗るウレタンマットがあるが、半ば凍っていることが多く、足が恐ろしく冷たい。

あらかじめ自前でビニールシートなどを用意して床に敷き、その上に立つ。

服を脱ぐ前に、風呂場に持ち込むものを用意する。タオル、カメラ、飲み水など。防水の腕時計があると便利だ。ただしカメラは、氷点下でバッテリーの使用時間が落ちるので、乾いたタオルなどにくるんでおくといい。

あまり着込んでいると脱ぐのに時間がかかるため、ジャケット(またはコート等)を脱いだら、イチ(上半身)、ニィ(下半身)のツーモーションで脱げる服装がおすすめ。

混浴だが、水着もOK。脱衣場には、女性のためにカーテンの仕切りもついている。水着なら、ホテルで着替えてから来るといい。脱衣から入浴まで、1秒を争うと心すべし。それほど寒い。

氷上露天風呂の入浴時間は、安全を考慮して6時30分から22時までと決められている。昼間は混浴時間。男性時間は18時から20時、女性時間は20時から22時とたっぷり。

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裸になったら、氷点下の外気にギャーとか、ギエーとか、死ぬーとか叫びながら、露天風呂へ。床は凍って超冷たい。もし先客がいるのなら、「入りまーす」などとひと声かけておくといい。

露天風呂へ木の凍った階段を上り、かけ湯はせずに、茶褐色のにごり湯に身を沈める。氷上露天風呂は氷でできているので、かけ湯をすると溶けて壊れる。だからここではかけ湯厳禁!

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湯は42度から44度。冷えた身体にちょっと熱く感じるが、入ってしまえばものの数秒で慣れる。あとはゆっくりとあたりを見まわし、絶景を楽しむべし。

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晴れの日は、白銀の雪原が目に痛いほどまぶしい。だから全裸にサングラス、というツワモノもいる。

濃い茶褐色の湯は、湖畔のホテル風水から引かれたナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。pH6.3の低張性中性高温泉だ。

もしも湯が熱いなら、コタンのスタッフに頼めば、凍結湖から切り出した氷のブロックを湯船にドブンと落としてくれる。ひと抱えもある天然の氷を湯船に入れる豪快さが、然別流。加水ならぬ加氷だ。これなら加水を嫌う温泉マニアも、喜んでくれるはず。

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10分も湯に浸かれば、額に汗が浮かぶほどの湯温。湯あたりを防ぐため、湯船のふちに腰かけて、氷点下の大気に全裸をさらしてひと休みするありえない状況だ。それでも10分ちかく、そうやっていられるから、温泉の保温力には驚く。

湯は、なんと厳選かけ流し。ホテル風水から常時パイプで供給され、湯面のパイプから再び湖畔へ排湯される。

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聞いた話では、パイプは二重になっていて、新鮮な湯を送るパイプを排湯のパイプが包む構造。熱い温泉が湯船まで冷えずに届くという仕組みだ。

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湯船は周囲を氷で囲んだ円形のグラスファイバー製。氷原に土台を設け、その上に湯船を設置しているため、氷の建物が溶けることはない。現在の工法を確立するまで、湯船を何度か湖底に沈めたという逸話もある。

今から35年ほど前、地元の住人たちが遊びでイグルーを作ったことがきっかけ。そんなイグルーも、当初は湖に沈んだり強風で飛んだりを繰り返し、現在の形へ進化した。当時は、冬のあいだ閉鎖していた湖畔のホテルも、おかげで年中営業するようになったと聞く。

一帯は大雪山国立公園内にあり、新たに建物を建てるには厳しい制約がある。ただし、イグルーは春になると溶けてなくなる非永続家屋。国立公園内にも建てられる自然を壊さない建造物だ。

設営にあたるのは全国から集まったボランティアたち。海外からの参加もある。物珍しさも手伝って、国内外からのツアー客が増えている。

はじめて氷上露天風呂が成功したのは1991年。開湯25年ということになる。バカげたアイデアを実行に移した者がいて、そんな風呂に、わざわざ飛行機に乗って訪れるバカがいる。このふたつのバカでなりたつのが、世界で唯一の氷上露天風呂というわけだ。

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そんな風呂は、湯抜き清掃までおこなう正統派。重装備で風呂の清掃をするスタッフと、裸でのんびる風呂に浸かる湯客が、いささか奇妙なり。

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さて、入浴していて注意しなければいけないのが足音。「見ちゃダメ」と書かれた看板が立ってはいるが、まさか裸の湯客などいるはずがないと思っている観光客が覗きに来ることしばし。

足音がしたらすぐ風呂に入って、「入りませんかぁ、いい湯ですよぉ」などと平和的に声をかけ手をふるのが作法……かもしれない。時たま「写真撮ってもいいですかぁ」などと、旅の想い出にされることもある。サムアップ&スマイルをお忘れなく。でも、ほんとうは覗くの厳禁ですよぉ~。

氷点下の湖上は、湯気が凍って髪の毛に樹氷を作る。氷の髪飾りも北海道ならではの美しさだけど、気になる女性はシャワーキャップを持参する。その上からバスタオルをターバンのように巻けば、ちょっぴりオシャレ。ただし、頭も猛烈に汗をかくので、蒸れる覚悟は必要だ。

湯から上がる時もコツがいる。湯の中で体をよく温めれば、5分以上外気にさらされても平気。まずは湯から上半身だけだしてタオルで拭き、次は腰、最後は脚というふうに、徐々に体を露出させて拭きあげてから、脱衣場で服を着る。服はあらかじめ重ね脱ぎしたものを、一気に着ると便利だ。

吹雪などで天候が荒れさえしなければ、服装は、それほど大げさなものではない。保温性の高いダウンの下は、Tシャツとヒートテックの2枚重ね。下は厚手の靴下、下着、タイツ、ジーンズ、雪の中を歩けるブーツという具合。できればスノーブーツが好ましい。厚手の手袋とマフラーは必須だ。本州の雪国の温泉地、プラスアルファという服装。

雪の中をさまよい歩くのではないので、1時間ぐらいはこの服装で大丈夫。寒がりの人は、さらに対策を。スキーウェアーの上下があれば安心できる。晴れると雪の照り返しがまぶしいので、サングラスがあると楽。

スノーブーツは、コタンが開催される1月末になると、地元の人はとっくに買い終えているので、帯広駅前の長崎屋で2割、3割引きで手に入るから狙い目だ。価格も5千円前後から。

氷の湯屋から出て、タオルを片手に岸へと向かうと、ある人からは尊敬のまなざしを送られる。またある人からは、馬鹿だなぁ~という目で見られる。どっちも嬉しい。

重装備のツアー客のおばさんが声をかけてきた。「あれに入ったの?」「はい」「あなた、内地の人でしょ?」。つまり本州から来た人、という意味。「今朝、羽田から飛んできました」「やっぱりそうよねぇ」

北海道の人からしたら、寒い真冬にマッパになって、風呂に入るなど狂気の沙汰と映るのだろう。でもね、考えてほしい。然別コタンに行ってあの氷上露天風呂に入らないなんて、ディズニーランドに行って、アトラクションに乗らずに帰るのと同じ。
とっても損をしている

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「しかりべつ湖コタン」の楽しさは、氷上露天風呂だけではない。凍った湖面の上には、アイスバーやチャペルが建ち、結婚式が執り行われることもある。

アイスバーは中二階もある大がかりな氷の建物。オリジナルカクテルもあって、お金を出せば氷のグラスを自分で作って、それで飲む。

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ミニシアターも併設していて、日曜の夜はライブを開催する。たいがいは、白熊と一緒にライブを楽しむことができる。

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イグルー(氷の家)はアイスホテルとして泊まることも可能(有料)。氷の部屋で、極地仕様の寝袋で眠る。難点はトイレが遠いこと。湖畔のホテルを利用するため、片道200mほど歩かねばならない。

もしアイスホテルで一夜を過ごすことができたなら、深夜、ココココココと、氷が育つ音を聴けるのだという。

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然別湖へは、帯広駅、もしくは新得駅からバスがあり、冬季は然別湖で下車と乗車をすればバス代が無料になる。帯広駅から路線バスで1時間40分、通常なら片道1700円ほど。帰りの路線バスは湖畔のホテルで無料乗車券を受け取る。

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来訪:2014年、2015年、2016年、
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