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酸性温泉

最強の温泉ガイド [温泉その他]

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2泊3日のバスツアーで巡った冬の北海道でのことだから、あれは2013年2月のこと。
昭和新山のふもとにあるお土産物屋。その書籍コーナーに、ちょっと目をひく縦長の冊子を発見。タイトルは『温泉番長ほっかいどう』。

これって本当に温泉本? その挑発的なタイトルはもちろん、表紙のイラストは学ランを着たアザラシとネコとブタってだけで、すでにフツーの温泉ガイドであることを捨てている。

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手に取っちゃったのでページをめくると、どうやら北海道の有名無名の温泉施設が紹介されているらしい。銭湯も出ているし、土地柄か野天風呂まで載っている。

そのうえ、お風呂にはほぼ必ずといっていいほど女の子が入っている。しかも、テレビの温泉番組で見るような「撮影のため特別に許可を得てタオルを着用ています」的な写真は一枚もない。

温泉に入るとき、タオルや手ぬぐいをお湯につけちゃいけないことは、みなさんご存知ですよね。そういう意味で、この本に登場するモデルさんたち(どうやら作者の知人の素人さんのようだけど)は、全員「正しい温泉の入り方」を実践しているわけだ。
混浴だってへっちゃら。
「えっ。お尻出ちゃってるし……」
ちょっとびっくり。

お土産物の整理をしていた店員さんにきくと、取材、編集、出版をした舘浦あざらしさんっていう人は、北海道の温泉通や旅行好きにはちょっとした有名人らしく、ラジオにもレギュラー出演している。「名前からは想像できませんけど、なかなかのイケメンなんですよ」などと教えてくれた。

怪しいアングラ温泉本とは違うみたい。

本はbook1とbook2の上下巻。基本級と番長級。このブログを書いている2017年6月現在、book1は売り切れ(らしい)。

小さな本にもかかわらず狭いページに写真がどっさり、文字もぎっしり。ちょっと立ち読みしてみると、その温泉について言いたいこと書きたいことが、いっぱいあるとうかがえる。

紹介された宿泊施設は、高級ホテルはごく一部。そのほとんどは庶民派の民宿や安宿ばかり。でも表紙には「責任編集 館浦あざらし」と銘打つだけあって、プライドをもって紹介している本なのだ。

その内容たるや、単なるガイドブックではない。

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塩素消毒が嫌いで、源泉掛流しであることはもちろん、それ以上に温泉成分が豊富で、サウナ不要、でも加水はOKと、館浦あざらしさんは書く。

なぜなら、北海道は野天風呂が多く……というよりも、山の中に湧いている温泉が随所にあるらしく、自然に湧き出す温泉は当然人間向けの温度になどなっていない。川から水を汲んで冷まさないと入れないことしばし。実際この本には川の水を一生懸命浴槽へ入れるシーンが載っていたりもする。「だから加水は悪くない。おかげでいい湯に入れるんだよ」という考え方が新鮮。

これが本州ともなると、湧き出た温泉には人が旅館を立てて、大半のお客さんが気持ちよく入れるよう適温に調整する。熱いとクレームくるし……。その段階で、もうそのお湯は自然じゃない。だから大自然の中の温泉なら、加水ぐらいで文句をいっちゃぁいけない、と教わった。

とりわけこの本の魅力は、その温泉を懸命に守る人たちの姿が描かれていることにつきる(ときどき看板犬も)。誰それが何十年もその露天風呂を守っているとか、休業中の宿を復活させたり、低気圧で二階が崩壊したとか。「北海道で二番目に心配な温泉」と紹介する某旅館など、魅力たっぷりなレポートが続く。

もちろんその風呂に集う人々のことも忘れない。どこそこの風呂は漁師さんに愛されていたとか、昔は旧国鉄マンが温まりに来ていたとか、自称温泉マニアが台無しにしたとか。人と温泉のかかわりを知ることができる。

たくさん載っている写真も、作者が数年かけて撮りためたもの。撮影年月日が記してあるのでその風呂の移り変わりがわかる。つまり、その温泉の年代記としての役目も果たしている。ご丁寧にも、巻末には「もう入れない絶滅温泉」というコーナーまである。

そんなふうに北海道の温泉は生まれ、愛され、時として死んでいく。

この本は、質のいい温泉探しにはうってつけだけど、特に北海道まで行けない人にこそおススメ。語り口も面白いし、ちょっとした温泉紀行書としても楽しめる。泉質や源泉のことも詳しく紹介されているので、この本を読んだだけで身も心もぽかぽかと温まる。

読むだけで楽しめる温泉って、初めての経験。





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